第106回新人漫画賞大発表!!

入選1本、佳作6本を含む総勢16名が雑誌とWEBで掲載決定!! 特別奨励賞は9本!! 奨励賞は9本!! 受賞者のすべてをここに発表!!

入選 賞金100万円GET!!

イナズマ
イナズマ

北村 己咲(24)50P

大暮維人先生コメント

熱いし、勢いもあり、ドラマも構成も密度が高く、申し分なしのスポ根バンド漫画。作品の持つエネルギー総量と完成度のバランスが応募作中最も高い位置で結実しています。 現状はやや強めの癖のある線ですが、描き慣れてくれば人気がでそうな程よいデフォルメ。女の子も可愛くて個人的に好きなタッチです。とは言え、キャラ線の密度はもっと下げた方がいいかもしれないですね。今すぐ次作に取り掛かって本誌連載枠奪取を目指して頂きたいです!

編集部コメント

音楽漫画は好きじゃない。無音の演奏シーンでシラけてしまうから。でも、この作品は違います。主人公の奏でる「音」に撃ち抜かれてしまいました。まさにカミナリです。なぜこんなに響くのか。「ROCKは心の在り様」と聞いたことがあります。この作品で描かれるのは「音」ではなく、主人公の「叫び」そのもの。だから響く。ラストに向けて繊細に描かれるキャラの表情や仕草の表現は、読み手を引き込んで離しません。そうして心を摑まれるからこそ、主人公の「叫び」がリアルに響いてくるのだろう。この才能が奏でる新作を楽しみに待っています。

この作品は公式アプリ『マガポケ』で読めます

佳作 賞金50万円GET!!

ALLERGIE
ALLERGIE

末安 荊十(23)50P

大暮維人先生コメント

吐くほど嫌すぎる仕事を、ただ克己のためだけに続けるというスタイルが新鮮。キャラや作風もシニカルな空気感が出ていてオンだ。構成的には、後半がやや勿体無い感じ。一度序盤で強キャラっぽいエクソシストを殺すブラフがあるせいでハードルが上がり、読者はもっともっと騙してくれ、と読み進めてしまうかもしれない。その意味では作風的にももう少しトリッキーな戦い方を工夫しても面白いかもしれない。

編集部コメント

今作のヒーローは心配だ。悪魔が怖くて震えちゃったりする。しかしそこがいい! 巷に溢れる正義漢ヅラしたヒーローよりも説得力があります。「怖い」と思う気持ちを隠さずに戦う姿を描くことで、その裏側にある「真の強さ」が読み手に迫ってきます。この作家、なかなかの曲者です。次回作でも、新たなヒーロー像を期待したいです。

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間違い探し

さらに大暮維人賞!!

間違い探し

紙山 はさむ(27)50P

大暮維人先生コメント

ある種の哲学のようだ。深い。シンプルな説明、ばら撒かれた伏線、それらをさらりと回収するシンプルで意外性のあるストーリー。そしてどんでん返しからのドラマがきっちりとハマった見事な構成。構成力で言えば文句なし。何より先輩のキャラが良い。立ちまくってる。なのに自然体だ。立たせるための無理をしていない。絵的なものは課題を残すが、この構成力の前では大きな問題ではないかもしれない。ファンになってしまった!

編集部コメント

「ニセモノ」と呼ばれる、擬態能力をもった人食い宇宙生物と戦う「駆除隊」の話。冒頭の漫画ならではの「間違い探し」演出から、全編にわたってアイデアに満ち満ちていて、「天才だ!」と思いました。中盤からのドラマチックな展開も素晴らしい!キャラ絵、とくに表情がもっと魅力的に描けたら、もう敵なしだと思います。

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鎌振ル天使
鎌振ル天使

外ノ(20)50P

大暮維人先生コメント

既視感のある作風でよく言えば王道。決してそれが悪い事ではないのだが、もう少しインプットしたものを自分の中で嚙み砕く時間が必要だろう。しかしこの画力は驚異的で、それだけで十分、と期待させる強さがある。見せゴマの作り方がうまく、エネルギーを注力する場所と抜く場所のメリハリがきいている点も好印象。構図やコマ配置に関しては既にプロレベルで安定しており、ビジュアル力は応募作中随一。未完成でもこの力量が見えるというのはすごい。

編集部コメント

絵が抜群に上手い! 画面構成力やバトルシーンの迫力はプロの中でも通用するレベルです! またヒロインのキャラがとても可愛くて魅力的でした! 抱えていたドラマには感情移入してしまうし、後半の照れ顔や泣き顔にはキュンときました! 一方主人公は好感度こそ高いけど、面白味という意味ではもう一歩。連載用の話では、もっと突き抜けたキャラを!

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不協和音
不協和音

田中 屋根(22)50P

大暮維人先生コメント

井口くんかっけえ! 笑われていたものが最後は正しかった、逆転のカタルシス。読者が今か今かと待っていて、そしてしっかり意外性を持って再登場。若い頃の誰しもの記憶とリンクしてくる共感性がある。このストーリーラインは始まった時に先が分かりやすいので、散りばめられた共感エピをいかに上手く読者の心にねじ込むか、が作品の核心だと思う。井口くんやヒロインの造形を含め、もう少し「リアルさ」「今感」がほしい。

編集部コメント

バカにされつづけてきた主人公の研究が実は本当であり、人類を絶望から救うヒーローとして登場するクライマックスシーンは、最高に胸アツです! 主人公がヒロインに対し、過去の何気ない一言に救われたと感謝を伝えるシーンは、感動で涙が出ました。画力がいまひとつな点がなんとも惜しいのですが、読み手の胸を打つすばらしい快作です!!

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Sunrise you
Sunrise you

力久 望(20)47P

大暮維人先生コメント

丁寧で優しい絵柄が不思議でハートフルな世界観とも相まって読後感が気持ち良い。キャラに色気があり、繊細な心の動きと実直な台詞や展開が心地よい。驚いたのは「高台に住む女性」の正体が判明するページの位置で、普通ならもっと後ろに持ってきそうなものだが、この位置にあることで、この作品の本質が不思議譚ではなく少年の心の動きにあることが読者に存分に伝わる。「読者に投げかける作者の言葉」として最高の手法だと思う。

編集部コメント

人の温もりと優しさが滲み出ていて、読み手の心を動かす力のある素晴らしい作品だったと思います。それを可能にしているのは、人物の表情を細かく描こうとする誠実さと、背景や吐く息などの生活感を大切にした演出力。コマ割りの読みやすさも非常に好印象。構成の細かな粗が気にならないほど演出に長けているので、課題は画力を洗練させていくことと、キャラクターの強さ。更なる飛躍に期待します。

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ゾンビニ
ゾンビニ

竹内 ゆらら(20)38P

大暮維人先生コメント

発想や感性に光るものがあり、絵は上手く、38ページにまとめたのも力量を感じる。20歳という年齢を考慮すれば将来性は極めて高い。漫画の法則性や駆け引き等の高い理解も感じられ、空気感を作るのも長けている。急成長しそうな予感。ただ、アクションシーンでは作画が丁寧だからこそ逆に、勢いが削がれているようなシーンがちらほら。自信を持ってもっと大胆に「崩す」のもアリかもしれない。

編集部コメント

「人口の9割はゾンビ化した社会で、暴走したゾンビはコンビニ店員が処罰する」という奇抜な設定の物語。だが、その奇抜さが魅力に感じてしまうのは、キャラに魅力が、アクションに躍動感があるからです。新人らしい元気の良さも手伝って、最初から最後までワクワクしながら読むことができました。今のフレッシュな感覚を、忘れずにいてほしいです。

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特別奨励賞 賞金15万円GET!!

脱出速度-escape velocity-
脱出速度-escape velocity-

小林 鮎(19)50P

編集部コメント

宇宙を夢見る少年と、かつて夢見ていた少女のロケット打ち上げ! あなたの作品は人を元気にするエネルギーに溢れています。誰からも好かれる漫画家になれると思います。キャラと物語は文句なし。次は画力向上と、カッコよさだけでなく読みやすい構図にすることを意識してください!

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デビルハンター
デビルハンター

西山 西子(19)45P

編集部コメント

熱量、表情の異常性、セリフのキレと今回の新人賞の中で最も強烈で濃いキャラでした! キャラのエネルギーだけで、ここまでページを捲らせる作品はなかなかないです。一方、絵柄も含め良くも悪くもクセが強いので、個性はそのままにどうバランスを取っていくかが今後は大事かもしれません。

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TABBY CAT
TABBY CAT

福下 学(20)49P

編集部コメント

「猛虎の山渕」で知られたヤクザの若頭と、その弟分の話。若頭なのに可愛いグッズが大好き! とキャラがユニークですね。その後の展開はご定番ですが、アクションも迫力ありました。少年誌としてはテーマが渋すぎるので、今後の題材や主人公選びは一考かと!

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レゾナンス
レゾナンス

ミナミRuト(23)50P

編集部コメント

相手を怪我させてしまったことから空手の道を断念した天才空手高校生が、急遽アルゼンチンタンゴの大会に出場するという急展開を見事に最後まで読ませました。ダンスシーンの高揚感はお見事です。官能的な決めポーズ、高まるモノローグに力を感じました。

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ハロー、カットマン
ハロー、カットマン

鷹野 暈人(22)48P

編集部コメント

表情が多彩でキャラの描き分けがしっかりとでき、正確な描写も難しい構図も取り入れられていて見応えがありました! キャラクターがやや後ろ向きに偏っている点がもったいないので、読者にとって憧れる上向きな成長を力いっぱい描いてみてください!

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「死霊術師」美月楓の事件捜査
「死霊術師」美月楓の事件捜査

石山 ハル(22)50P

編集部コメント

死霊術師にして検挙率100%のヒロイン×幼なじみの刑事。そこに糸目の捜査一課の敏腕が絡んで……。本当にこのオチはお見事です。完全に予想外の展開で鮮やか。ヒロインも可愛く描いてるがゆえに騙された! このプロット力を生かした次回作も大期待です!!

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BREAK SCHOOL
BREAK SCHOOL

ダイチ(19)50P

編集部コメント

「補習組」生徒達が、勉強をしたくないから学校を潰すべく頑張る。いや勉強しろよ、とツッコミたくなるけど序盤からテンポが良い! キャラのノリも良いし、思わず引き込まれてしまいます。漫画は「いかに最後まで読ませるか」の戦いなので、ダイチさんが持っているテンポ感(リズム感)は今後も武器になるはず!

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邪竜ポンクゥ
邪竜ポンクゥ

山ノ井 駿(29)50P

編集部コメント

特異な設定ながら、要所要所でしっかりと考え抜かれているのが垣間見えました。野心的なヒロインと臆病な怪獣の掛け合いなど、キャラ描写にも意外性があり好感が持てます。怪獣が登場するスケール感のある漫画としては、画力が全体的に物足りない印象なので頑張ってほしいです。

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Bubble -バブル-
Bubble -バブル-

AOIKO(25)50P

編集部コメント

「ジャンプから入水までたったの2秒」の美しさを競う、飛び込み競技に出会った高校生の話。ストレートにアツいお話でした。いちいち気が利いていて、画力もバッチリ。非常に完成度が高いと思いました。もう少しキャラや展開にオリジナリティがあると、上の賞も狙えたかも。

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奨励賞 賞金5万円GET!!

とべ!ドラゴン
とべ!ドラゴン

尾崎 海(24)50P

編集部コメント

悩みを抱えた主人公が異世界に行き、何かしらの壁を乗り超え成長して帰ってくるという物語の王道展開をしっかりと気持ちよく読ませてくれる力作でした。後は、せっかくのファンタジーをより読者に届けるため、細部までしっかりと描き切り画力を伸ばすことを意識してください!

ミライヲエガク
ミライヲエガク

広山ナカト(27)50P

編集部コメント

未来が視える男、その男の人生は幸せなのか、それともつまらないのか……。そんなハードなテーマを爽やかな青春テイストで描く切り口は素晴らしいです。ストーリー展開にもっと捻りが欲しかったと思いました。

Wall of the race
Pray

古海 拓矢(24)50P

編集部コメント

総合力の高い作品。主人公とヒロイン、それぞれの苦悩の描き方には共感を覚え、絵柄の好感度も高く、漫画としても読みやすかったです。課題は、カタルシスの少なさ。物語の終盤がもう少し盛り上げるよう、展開に工夫が欲しかったです。

恋と縁
恋と縁

たつわ周大(25)50P

編集部コメント

恋の試練に挑む幼なじみ! 全男子の夢を叶える作品で、サービス精神が素晴らしい!ハラハラさせる、泣かせる、焦らす、不安にさせる等、気持ちよさだけじゃない表現の引き出しを増やせば、ギャップ効果でさらに面白くなるハズ!

人も妖怪も
人も妖怪も

タイジュ(24)50P

編集部コメント

所々に入るカットは、カッコ良くてセンスを感じました。ストーリーも悪くないけど、読者に訴えたいテーマがブレて、上手く伝わっていません。もっと構成を練って要素を絞り込んだ方が気持ちよく読めるようになります。

水曜2限
水曜2限

Ryokassy(19)43P

編集部コメント

偶然オンラインで繫がった、時を超えた人との絆を丁寧に描けていました。残念なのは、これからストーリーが盛り上がるところで、終えてしまっていること。省略してよい部分とページを割く部分のメリハリを良く考えましょう。

メイドいんこたつ
メイドいんこたつ

ヲンバット(18)32P

編集部コメント

坊ちゃんのもとにやってきた新たなメイドは一味違って慇懃無礼。そしてその正体は……。登場キャラクターが皆可愛くて掛け合いも楽しいのでストレスなく読めました。ぜひ画力を上げて、描ける表情や表現の幅を広げてほしいです。

幽霊神父
幽霊神父

関矢こう(23)17P

編集部コメント

少女にとりついたのは、除霊が未練のエクソシストの幽霊。設定で既に面白い上に、本編内のギャグも高クオリティ。楽しさは十分なので、あとは戦えるだけのキャラクターやパッケージングといった企画性を備えてほしいです。

ルビーの指環
ルビーの指環

阿古夜(21)50P

編集部コメント

人造人間であるヒロイン・八雲の主人公への恋心がいじらしく可愛かったです。殺人兵器としての怖さもギャップを生み出していました。主人公の母親の登場で、本筋とは違う対立構造に引っ張られているのが惜しかったです。

大暮維人先生の総評

全体的に「みんな漫画がうまい」と感じました。ストーリーラインは破綻なく、構成や見せ場も的確で、伏線・どんでん返しなど話作りの技術もとてもしっかりしていて、漫画制作のノウハウが広く浸透しているのを実感しました。ただそれが本当に良い事なのかどうかは、今回の審査だけでは判断がつきかねたというのも正直なところです。発想のバリエーションや突拍子もない展開のパワー、自由な味付けも欲しかったかなと思いました。個性という「違い」を見せる武器を磨くことは、絵や話が上手くなるよりよほど重要です。プロの世界では「違い」は左右ではなく上下です。絵的なものは流行り廃りもあるし、必要ならデビュー後カスタマイズすれば良いので、あまり重要視せずに見ました。しかし、例えば『チェンソーマン』のように「この時代感」を凝縮したかのようなセンスを内包した作品は見当たらなかったように感じ、それが少し残念でした。